フリーランスになる前の準備を、お金、仕事、手続き、契約の4つの視点で整理しました。開業届や青色申告、国民健康保険と国民年金の切り替え、フリーランス法やインボイスまで、公的機関の情報をもとに解説します。
フリーランスになる前の準備を、お金、仕事、手続き、契約の4つの視点で整理しました。開業届や青色申告、国民健康保険と国民年金の切り替え、フリーランス法やインボイスまで、公的機関の情報をもとに解説します。
フリーランスになる前に準備しておきたい理由
フリーランスとして働くことには、仕事の内容や時間を自分で選べる自由があります。一方で、収入が月ごとに変わったり、会社が代わりに行っていた手続きを自分で進めたりする必要も出てきます。独立してから慌てないためには、会社員のうちに準備を進めておくことが大切です。
この記事では、フリーランスになる前に準備しておきたいことを、お金、仕事、手続き、契約の4つに分けて整理します。税金や保険、法律に関わる内容は、国税庁や日本年金機構、公正取引委員会などの公式情報をもとにまとめていますが、制度は改正されることがあるため、手続きの前には必ず最新の案内を確認してください。
お金の準備:生活費の備えと、事業と生活の口座分け
独立直後は、仕事がすぐに安定するとは限りません。また、仕事を納品してから報酬が入金されるまでには時間差があります。最初の入金までの生活費と事業の経費をまかなえるよう、毎月の固定費を把握したうえで、数か月分の備えを用意しておくと安心です。
- 毎月の固定費と変動費を書き出し、最低限必要な生活費を把握する
- 事業用と生活用の口座を分け、お金の流れを見えるようにする
- 国民健康保険料や国民年金保険料、住民税、所得税の支払いを見込んでおく
- パソコンや通信環境など、仕事に必要な道具の更新費用を考えておく
会社員のときは給与から天引きされていた税金や保険料も、独立後は自分で納めることになります。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、独立した年は収入が減っていても支払いが続く点も覚えておきましょう。
仕事の準備:最初のお客様の見込みとポートフォリオづくり
独立前に、最初のお客様の見込みがあると気持ちの面でも大きな支えになります。今の人脈の中で、どんな人の役に立てそうかを考え、できることと実績をまとめたプロフィールやポートフォリオを用意しておきましょう。勤務先の就業規則で競業や副業の扱いを確認したうえで、在職中に小さな仕事を受けて感触を確かめておくのも有効です。
La plusはWeb制作やSNS運用、マーケティング支援の仕事で、外部のフリーランスの方に協力をお願いすることがあります。発注する側として判断しやすいのは、提供できる作業の範囲、料金の考え方、担当した実績での役割、連絡がつきやすい時間帯が、最初からまとまっている方です。これらが整理されていると、依頼の検討から見積もりのやり取りまでがスムーズに進みます。
1社だけに収入を頼る状態は、取引が終わったときの影響が大きくなります。独立後も、新しいお客様と出会う経路を複数持っておくことを意識しておきましょう。
手続きの準備:開業届・青色申告と、国民健康保険・国民年金の切り替え
会社を辞めてフリーランスになると、会社が行っていた手続きを自分で進める必要があります。主なものは、税務署への届出と、健康保険・年金の切り替えです。
開業届と青色申告承認申請書
国税庁の案内では、個人事業の開業届出書は、事業を開始した日の属する年分の確定申告期限までに、納税地を所轄する税務署へ提出することとされています。以前の案内やほかの記事では別の期限が書かれていることもあるため、提出前に国税庁の最新ページを確認してください。e-Taxでの提出もできます。
青色申告を選ぶ場合は、別途「青色申告承認申請書」の提出が必要です。その年の1月16日以後に新しく事業を始めた場合は、業務を開始した日から2か月以内が提出期限です。青色申告には帳簿の記帳と保存が求められるため、会計ソフトなど記帳の方法もあわせて準備しておきましょう。
国民年金と国民健康保険
日本年金機構によると、会社を退職して厚生年金の資格を失った人は、国民年金の第1号被保険者への切り替えを、退職日の翌日から14日以内に住所地の市区町村などで行います。扶養していた配偶者がいる場合は、配偶者の手続きも必要です。
健康保険は、国民健康保険に加入する場合、退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口で手続きを行います。勤務先の健康保険の任意継続や家族の扶養に入る選択肢もあるため、保険料や条件を比べて選びましょう。
契約の準備:フリーランス法とインボイス制度の基本を知っておく
2024年11月に施行されたフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)では、フリーランスに業務を委託した事業者は、直ちに書面またはメールなどの電磁的方法で、給付の内容、報酬の額、支払期日などの取引条件を明示しなければならないとされています。報酬の支払期日は、原則として給付を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間内で定める必要があります。
発注側の義務ではありますが、受ける側も内容を知っておくと、条件があいまいなまま作業を始めることを防げます。業務の範囲、納期、修正の回数、報酬、支払い時期は、必ず文字で残る形で確認する習慣をつけましょう。La plusでも、契約内容の確認と同意の記録を残せるオンライン契約書システムを自社で開発しており、条件を事前に文字で共有しておくことの大切さを実感しています。
インボイス制度についても、基本を押さえておきましょう。インボイス発行事業者の登録を受けると、消費税の課税事業者として申告が必要になります。取引先に事業者が多いかどうかや売上の見込みによって判断が変わるため、国税庁の案内を確認し、必要に応じて税務署や税理士に相談してください。
困ったときの相談先を、独立前に確認しておく
フリーランスになると、契約や報酬のトラブルを一人で抱え込みがちです。厚生労働省の委託事業として第二東京弁護士会が運営する「フリーランス・トラブル110番」では、発注事業者との取引で生じたトラブルについて、弁護士に無料で相談できます。
税金のことは税務署や税理士、年金や保険のことは年金事務所や市区町村の窓口と、テーマごとの相談先を独立前にメモしておくだけでも、いざというときの不安は小さくなります。
まとめ:フリーランスの準備は、お金・仕事・手続き・契約の4つから
フリーランスになる前は、生活費の備えと口座分け、最初のお客様とポートフォリオ、開業届や保険・年金の手続き、契約条件の確認という4つの準備を進めておきましょう。手続きの期限や内容は、公的機関の最新情報で確認することが大切です。
La plusでは、独立に向けたWebサイトやポートフォリオづくり、発信の設計のご相談も受け付けています。アスリートのセカンドキャリアとしての独立を考えている方も、気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 開業届は退職してから1か月以内に出さないといけませんか?
国税庁の手続き案内では、開業届は事業を開始した日の属する年分の確定申告期限までに提出することとされています。ただし青色申告承認申請書には別の期限があり、1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内です。提出前に最新の案内を確認してください。
Q. 退職後の国民年金と国民健康保険の手続きはいつまでに必要ですか?
日本年金機構の案内では、国民年金への切り替えも国民健康保険への加入も、退職日の翌日から14日以内に手続きを行うこととされています。健康保険は任意継続や家族の扶養という選択肢もあるため、条件を比べて決めましょう。
Q. フリーランスはインボイス登録をしないと仕事がもらえませんか?
一律に仕事がもらえなくなるわけではありませんが、取引先によっては登録の有無を確認されることがあります。登録すると消費税の申告が必要になるため、取引先の状況や売上の見込みを踏まえ、国税庁の案内や専門家の意見を参考に判断してください。
Q. 契約書を交わさずに仕事を始めても大丈夫ですか?
フリーランス法では、発注事業者に取引条件を書面やメールなどで明示する義務があります。口頭だけで始めると、範囲や報酬をめぐるトラブルにつながりやすくなります。作業の範囲、納期、報酬、支払期日は、必ず文字で残る形で確認しましょう。
