やりたいことがわからない社会人でも、キャリアは考え始められます。経験の棚卸し、価値観の言語化、選択肢の整理、小さな試行という4ステップで、方向性を少しずつ見つける方法を解説します。
やりたいことがわからない社会人でも、キャリアは考え始められます。経験の棚卸し、価値観の言語化、選択肢の整理、小さな試行という4ステップで、方向性を少しずつ見つける方法を解説します。
やりたいことがわからないままでも、キャリアは考えられる
「やりたいことがわからない」という悩みは、学生だけでなく、働き始めて数年たった人や、競技を引退したアスリートからもよく聞かれます。周りが目標を語っているように見えると、自分だけが取り残されているように感じるかもしれません。
ただ、やりたいことは頭の中で考え続けるだけで見つかるものではありません。多くの場合、これまでの経験を振り返り、気になることを試し、その手応えを確かめる中で少しずつ形になっていきます。最初から答えを持っている必要はなく、「見つけ方の手順」を持っておくことのほうが大切です。
この記事では、やりたいことがわからない状態から始められるキャリアづくりを、4つのステップに分けて紹介します。転職や独立を急ぐためではなく、自分に合う方向を探すための考え方として読んでみてください。
キャリアづくりの4ステップの全体像
4つのステップは、順番に一度やれば終わりというものではありません。試してみて違和感があれば、また振り返りに戻る。この往復を繰り返すことで、方向性の精度が上がっていきます。
- ステップ1:これまでの経験を書き出す(キャリアの棚卸し)
- ステップ2:大切にしたい価値観と、避けたい条件を言葉にする
- ステップ3:その価値観を満たせそうな仕事や働き方を調べる
- ステップ4:副業や講座などで小さく試し、手応えを確かめる
ポイントは、ステップ1と2で「自分の材料」を集め、ステップ3と4で「外の情報と実体験」を足すことです。どちらか片方だけだと、考えすぎて動けないか、動いても判断基準がない状態になりやすくなります。
ステップ1:キャリアの棚卸しで経験を書き出す
最初にやるのは、これまでの経験をできるだけ具体的に書き出すことです。仕事だけでなく、学生時代、部活動、アルバイト、趣味、家族や地域での役割なども対象にします。大きな成果がある経験だけを選ぶ必要はありません。
書き出すときは「何をしたか」に加えて、「そのとき楽しかったか、つらかったか」「時間を忘れて取り組めたか」も一言添えておきます。気持ちの記録があると、ステップ2で共通点を探しやすくなります。
- 続けられた理由がはっきりしている経験
- 人から感謝された、頼られた経験
- 苦労したけれど、終わったあとに達成感があった経験
- やっていて強いストレスを感じた経験
スポーツに打ち込んできた人なら、練習メニューを自分で組み立てた、チームの雰囲気づくりを担った、試合の映像を見て課題を整理した、といった経験も立派な材料です。競技の場面で当たり前にやっていたことが、仕事の言葉に置き換えられることは少なくありません。
ステップ2:大切にしたい価値観と「やりたくないこと」を言葉にする
書き出した経験を見返し、楽しかった場面に共通していることを探します。「人に教えている」「数字で成果が見える」「チームで目標に向かっている」「自分のペースで深く考えられる」など、行動や環境のパターンが見えてくるはずです。
あわせて、つらかった場面の共通点から「避けたい条件」も整理しておきましょう。やりたいことがはっきりしなくても、やりたくないことは比較的言葉にしやすいものです。避けたい条件がわかると、選択肢を絞るときの基準になります。
価値観は一つに決めなくて構いません。3つ程度を候補として書いておき、ステップ3や4で実際の仕事と照らし合わせながら、優先順位をつけていくほうが現実的です。
ステップ3:Will・Can・Mustで仕事や働き方の選択肢を広げる
価値観が見えてきたら、それを満たせそうな仕事や働き方を調べます。このとき役立つのが、Will(やりたいこと)、Can(できること・得意なこと)、Must(仕事で求められること)の3つを重ねて考える方法です。Willがまだ弱くても、CanとMustから候補を挙げることはできます。
職業の内容を調べるときは、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)のように、仕事内容や必要なスキルが整理された公的なサイトも参考になります。求人票を眺めるだけでも、どんな経験が求められているかの相場観がつかめます。
そして、実際にその仕事をしている人の話を聞くことは、とても有効です。仕事の良い面だけでなく、地味な作業や大変な時期も含めて聞いておくと、イメージと現実のずれを事前に知ることができます。
ステップ4:副業や講座で小さく試して、手応えを確かめる
候補が見えてきても、いきなり転職や独立を決める必要はありません。まずは小さく試せる方法で、自分に合うかどうかを確かめましょう。試した結果「思っていたのと違う」とわかることも、大きな前進です。
- 興味のある分野のイベントや勉強会に参加する
- オンライン講座を一つだけ受けてみる
- 知人の仕事やプロジェクトを手伝ってみる
- 勤務先の規則を確認したうえで、小さな副業に挑戦する
試したあとは、「またやりたいと思えたか」「時間を忘れたか」「どこで疲れたか」を短くメモしておきます。このメモがステップ1の新しい材料になり、次の4ステップの精度を上げてくれます。
一緒に仕事をする側から見た、伝わるキャリアの整理のしかた
La plusはWeb制作やSNS運用、マーケティング支援の現場で、フリーランスや副業の方と一緒に仕事をすることがあります。その立場から感じるのは、経歴の長さよりも「何をして、なぜそうしたのか」を自分の言葉で説明できる人のほうが、仕事をお願いしやすいということです。
4ステップで集めた材料は、そのまま自己紹介やポートフォリオの土台になります。小さく試した仕事でも、目的、工夫したこと、結果を短くまとめておくと、相手は任せられる範囲を判断しやすくなります。
代表の葛西も元サッカー選手で、競技のあとにWebライティングからWeb制作、SNS運用、マーケティングへと仕事の幅を広げてきました。最初から明確な目標があったわけではなくても、試しながら方向を決めていく進め方は、多くの人にとって現実的な選択肢だと考えています。
まとめ:やりたいことは、棚卸しと小さな試行で見えてくる
やりたいことがわからないときは、答えを探すより先に、経験を書き出し、価値観を言葉にし、選択肢を調べ、小さく試すという順番で動いてみてください。一度で決まらなくても、繰り返すほど自分に合う方向がはっきりしてきます。
La plusでは、アスリートのキャリアや発信についてのご相談も受け付けています。考えを整理する段階からでも、気軽に声をかけてください。
よくある質問
Q. やりたいことがわからないまま転職してもいいですか?
転職自体が悪いわけではありませんが、判断基準がないまま動くと同じ悩みを繰り返しやすくなります。少なくとも大切にしたい価値観と避けたい条件を整理し、可能であれば副業や講座で小さく試してから判断すると、後悔を減らしやすくなります。
Q. キャリアの棚卸しにはどのくらい時間をかければいいですか?
決まった時間はありませんが、一度に完璧を目指すより、まず30分ほどで思いつく経験を書き出し、数日かけて追加していく方法がおすすめです。時間をおくと忘れていた経験を思い出しやすく、気持ちの記録も素直に書けます。
Q. アスリートの経験は一般の仕事でも評価されますか?
競技の結果そのものより、目標に向けて練習を組み立てた経験や、チームで役割を果たした経験は、仕事の場面でも伝わりやすい材料です。何をして、なぜそうしたのかを具体的に言葉にしておくことが大切です。
